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外国人参政権、海外の実態は? 単純比較は不可能…日本固有の事情で議論を(産経新聞)

【社会部オンデマンド】

 外国人に地方参政権を認める法案が国会に提出される可能性があるようですが、十分に国民の理解が得られないまま法案が通れば、日本人との間で摩擦が起きる危険があると思います。海外で外国人参政権を認めている国の状況はどうなのでしょうか。 =匿名

■“仲間・身内”限定

 「(外国人参政権は)まさに愛のテーマだ。友愛と言っている原点がそこにあるからだ」

 民主党幹事長時代にこう述べた鳩山由紀夫首相。その鳩山政権のもとで、外国人地方参政権が法案提出へ向け動き始めている。

 「外国人参政権は世界の趨勢(すうせい)だ」とは、推進論者の主張。国立国会図書館の調査によると、海外では欧州を中心に一定の居住年数などを条件として、約40カ国で外国人参政権が認められている。世界約200カ国のうち40カ国なら、確かに少なくはないようだ。

 だが、この問題に詳しい日本大学の百地章教授は強調する。

 「そもそも、外国人参政権問題で、わが国と外国を単純に比較することは無意味なのです」

 なぜか−。具体的に、海外の状況を見ていこう。

 欧州の大国であるフランス、イタリア、ドイツは3カ国とも、外国人参政権を認めている。だが、付与対象はEU(欧州連合)加盟国民限定。民主主義や人権など価値観を共有し、欧州議会や共通通貨ユーロ導入など、政治・経済的に緩やかな統合が進んでおり、“仲間”同士で参政権を認め合っている格好だ。

 イギリスはどうか。EU加盟国民への地方参政権に加えて、カナダやオーストラリアなど「英連邦」諸国に対しては、相互に二重国籍を認めた上で、国政レベルの参政権も認めている。

 英連邦はかつてのイギリス植民地で、“身内”のようにつながりは深い。

 「旧宗主国と植民地が二重国籍を認めあった上で選挙権を付与するのは、『外国』ではなく『国民』への参政権付与です」(百地教授)。

 ポルトガルもイギリスと似ており、旧植民地のブラジルなど「ポルトガル語を話す」国に対し、地方参政権などを認めている。

■寛大な政策のリスク

 国籍制限を設けず地方参政権を認めている国もある。北欧のスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドなどだ。中でも1975年に「無制限」をスタートさせたスウェーデンは、外国人参政権の“先進例”とされている。

 同国があらゆる外国人に参政権の門戸を開いた背景には、経済成長に伴う移民の増加があった。1960年には外国出身者の割合は4%だったが、2006年には約17%に増加。当初はフィンランドなど欧州から、後には中東などからの難民が増えたという。

 「移民の社会への統合を促した」。参政権付与など同国の“寛大”な政策を評価する声も強い。難民出身で帰化し、閣僚に就任した人物も出ているほどだ。

 一方で、移民増が社会問題化しているのも事実。高福祉で知られる同国だが、仕事を得られない難民が福祉財政の負担となり、非欧州系移民の増加で文化的摩擦や犯罪増などの問題が浮上。「反移民」を掲げる右派政党が選挙で躍進するといった現象も出ている。

 同様の移民問題は、オランダなど欧州各国で起こっており、“寛大”すぎる移民政策はこうした問題を招くリスクもはらんでいるようだ。

 「外国人参政権を認めている国には、それぞれ日本とは全く異なる歴史的背景や事情がある」と百地教授は指摘する。

 日本で現在、地方参政権付与の主な対象とみられているのは、永住外国人91万人のうち、約47万人の在日韓国・朝鮮人や、約14万人の在日中国人だ。特に中国人は将来的に最多になるとみられている。

 日本は中韓と領土や歴史認識などで対立。鳩山首相は「東アジア共同体」を提唱するが、EUの欧州と状況は異なっている。

 米軍基地移設問題が争点となった沖縄県名護市長選のように、地方選挙の結果が安全保障という国政の重大テーマに直結する状況もある。また、外国人参政権問題は、年々増加する在日外国人に対し、日本社会がどう向き合うかというテーマでもある。日本固有の事情を踏まえ、冷静に議論する必要がありそうだ。

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